SPIE-ARVRのレビューとCES2026から考える次の10年

Aki Machida

AIのインフレクション・ポイントと、ARグラス1億台というビジョン

Physical Reality(フィジカル・リアリティーの提唱)


ミリアスオプティックスのビズデブコンサルとして、三日間会場のブースに立ちました。ですので、正直、すべてのブースを細かく見たわけではありませんので、あしからず。


Keynoteは2日目の朝、8時からのメタによるビジョンの説明だったので、これも併せて報告します。


まずミリアス・オプティックス社の紹介から。


ミリアスの技術は、まずチタニア(TiO2 屈折率1.9)系の粉末を混ぜた樹脂をガラス基板、クオーツ、シリコンカーバイドなどにナノインプリント(言わば凹版印刷)をして紫外線硬化をします。


そして400℃で焼成します。これで有機物が無くなりますが、構造物は穴あきのポーラス状態になります。そこへチタニアや別の屈折率の違う材料をALD(Atomic Layer Deposition)という方法で10から20層のみ堆積させます。

これでポーラスが埋まり、焼成による収縮も補正されます。


この方法で屈折率を1.9から2.5まで調整が出来ます。2.6も目処がついています。

SiC基板はクオーツの100倍も高いですが、視野角が飛躍的に向上するので、宇宙航空用や最上級機種に最適です。

まだ会社としてはシードラウンドで絶賛投資受付中です。


さて、

SPIE Photonics West AR/VR/MRカンファレンス基調講演はMetaのVPが重要な発表をしました。以下は彼の挨拶です。


「今週、SPIE Photonics WestのAR/VR/MRカンファレンスで基調講演を務めるという光栄な機会をいただきました。この分野における革新者や思想的リーダーといった、刺激的な方々の前でお話しできたことを心から感謝しています。

講演では、AIディスプレイグラスのユーザー数を1億人に到達させるという大胆な目標に向けて、業界全体で団結することを呼びかけました。この目標は単なる数字の問題ではなく、人々が世界を体験し、テクノロジーと交流し、互いに繋がる方法を変革することにあります。私たちには、このビジョンを実現するための専門知識、創造性、そして情熱があります。共に協力し、限界を押し広げ、AR/VR/MRテクノロジーの普及を加速させていきましょう。

SPIEおよび参加者の皆様の情熱とご尽力に感謝いたします。没入型テクノロジーの未来は明るく、皆様と共にこの旅路を歩めることを大変嬉しく思います!」


で、これを実現するデリバラブルとして彼が業界に要求したのが以下のポイントです。冒頭の100/4/100は、1億台(100ミリオン)を達成するために眼鏡のツル以外のコストを100ドルという目標にせよ、という意味です。


“All elements of the display must be $100. Projector(s), panel(s), waveguide(s) and full integration (test, total cost, including yield, labor and depreciation, etc.)”


ARディスプレイグラスの構成は以下の構造です。(写真後ほど)


表示部分の構造は、回折格子型のウェイブガイド方式、ルーバー型のウェイブガイド、ハーフミラータイプなどがあり、製造方法もナノインプリントとリソグラフィがあります。


弱視の方用に実績のあるレーザーによる網膜直描タイプもあります。


表示色は緑の単色、緑と赤のみ、3原色、フルカラーです。


発光体としては、LCOS、OLEDonSilicon、レーザー光源、マイクロLEDくらいでしょうか。レーザーの直描以外、プリズムを使って表示を実現します。


メガネのツルにはカメラ、プライバシーLED、スピーカー、マイク、電池、押しボタンスイッチ、静電容量式スライドバーが仕込まれています。


画像のメニュー選択やスクロールはカメラを使った手指を見るジェスチャータイプ、Bluetoothでスマホ画面そのものを使うか、リストバンドやリング、ハプティックグローブを使います。


キラーアプリは時刻表示、テレプロンプター、同時通訳、ニュース、天気、メール、SNS表示、ナビゲーション、文字興し付きのポッドキャスト、コーラーID表示などです。特に同時通訳はオフラインでもスマホの能力を使って、実現できるものに強みがあります。電波がないと使えないのでは、本当に使えないです。


なお$100を実現するには単色単機能で、重い電池は極力少なく、ケータイや外付けバッテリーに頼るんでしょうか。


個人的には、歩きスマホ防止そのものがキラーアプリになると期待してます。


さて、CES2026ではNVIDIAのFontenbrueで行われたJensenFuang社長の基調講演が今後の10年を物語っていたと思います。キーワードはPhysical-AIです。AIがOSとしてあらゆるものに入っていくんだと。


でも、考えてみてください。デジタル時計がこの世に出てからもアナログはなくなりませんし、多かれ少なかれ、人間のアナログ行動・思考とデジタルはいつまで経ってもギャップがあります。


このギャップを埋めるのが、Physical Reality(フィジカル・リアリティ)だと思います。


例えば、ARやVRによる遠隔操作による手術でも、現在は温度や圧力信号はリモート側には伝わってきません。ハードウエアにはAIが載ってないので、あくまでも単なる遠隔操作です。


ということで、Physical Realityとは何か?というと、

・Physical Realityとは、AIがクラウドや画面の中に留まらず、 物理世界そのものに直接実装される次の技術パラダイムなのです。

・知能はソフトウェア単体ではなく、 センサー、材料、デバイス、機械、環境の中に組み込まれます。

・物理システムは、 「感じる(Perceive)」「判断する(Decide)」「動く(Act)」 をリアルタイムで自律的に行います。

・人間の役割は「操作する人」から、 意図・制約・価値を設計・校正する存在へと移行するのです。


自動運転を例に取りましょう。私はテスラでFSDに頼り切りです。以前はトラックの隣を走る時は車線いっぱいに離れて、トラックから距離をおいて運転していましたが、テスラはどうしても車線の真ん中を走りたいようで、運転手としては恐怖を感じます。なのに、テスラはそんな心配を汲み取りません。これがギャップです。しかも、このギャップは利用者にしか理解できない要素です。


これを埋めるのがフィジカル・リアリティーです。お分かり頂けましたか?AIと人間の人知が融合する世界と思ってください。


たしかに今年はヒューマノイド元年かもしれません。でも見た目だけでなく、使って慣れ親しまないと、見ただけではわからない微妙な違和感に気付きません。これに気づいて埋めてゆくのが次の10年の人間の仕事かな、と思った次第です。

Aki Machida 町田 晶弘
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